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2010年3月31日水曜日

【恐縮です】素晴らしい感想書簡を転載してしまうことにしました

 
坂中正義先生というお方がおられる。九州・ロジァリアンの若手ホープといってもよいだろう。その坂中先生より,岡村達也先生にきた感想の書簡を,お二人のご厚意により,転載させていただく次第です。

もちろん,何の感想かといえば,



であります。

===

ご無沙汰しています。坂中です。
『カウンセリングのエチュード』、読ませていただきました。
わくわくしながら読んだのでこの1週間で読んでしまいました。
この感じは垣内出版版の『カウンセリングの条件』*を読んだ時以来かも知れません。

岡村先生のパートはすごくわかりやすかったです。でも緻密に論がすすんでいくのが、いつもながらすごいなあと感服し、また自分もまだまだ必要十分条件読み込めてないなあと反省したりもしました。

おもしろかったのは先生のパートを読んだ後、「クライアントさんの体験過程に近いところにいること」を意識しながら面接にのぞむとなんだかいつもとは違う少し力が抜けた感じでいられたり、相手の語りがずいぶん感じに近いものになったりしたことです。

また逐語の検討の視点もとても参考になりました。これは最近の教育上の関心の1つです。

これまで先生の書籍などを読む中で私の方で未消化なところもこの本で随分明確にすることができました。ウィスコンシンプロジェクト以降の「条件つきの関心」ということを「まあそういうこともあるよなあ」と何となく思っていたのですが、読了後はロジャースがこのことを具体的にどのようなことをさしていっているのか検討してみたくなりました(私は無条件性に関心があるからと思います)。

小林先生のパートは共感について少し違った側面から光を当てられた感じで新鮮でした。なんといっても醍醐味はロジャースの「あたかも...」を「感じ取っている自分自身の私的な世界を、あたかもクライエントの私的な世界であるかのようにすること」ととらえてみることで今までみえなかったことがみえてきたことだと思います。このように考えると私は共感という際にあまり自分の感じを活用してきてなかったなあと思えてきました。

残る問題は自分の私的な世界をクライエントの私的な世界であるかのようにするにはどのようにして可能になるのかということかなと思いました。
また私も無条件性にこだわるならば小林先生くらいこだわりたいなあと率直に思いました。

菅村先生のパートは応援された感じがしました。クライエント中心療法にもまだまだ可能性があると素直に思えました(けっして可能性がないといままで思っていたわけではありませんが:笑)。現象学や科学哲学などとても興味がありつつも読解力がないので、調査系の研究に流れていますが、文献を幅広く、また読み込んでいくことの醍醐味に触れた感じです。

どこもおもしろく読めたのですが、無条件性に関心があるからでしょう、やっぱりアタッチメントのことが印象に残っています。

ざっくりとした感想で恐縮ですが、色々刺激を受け勉強になりました。

==

*注:垣内出版版の『カウンセリングの条件』はすでに絶版となっているので,下記所収を参照されたい。

カウンセリングの条件―クライアント中心療法の立場からカウンセリングの条件―クライアント中心療法の立場から

日本評論社 2007-01
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これもまた,すばらしい本です。


それから,坂中先生自身,一押しの本もあげておきましょう。

ロジャース学派の現在 (現代のエスプリ別冊)ロジャース学派の現在 (現代のエスプリ別冊)

至文堂 2003-04
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村山正治先生のご編集の一冊。
面白そうです。

 

2010年3月25日木曜日

トップの写真,変えました。。

 
先日,3連休の初日,山スキーとやらに行ってきたときの写真です。

数年ぶりに同居人1号と同道の山スキー。

沼田インターから小一時間ほど走ったところにあるオグナほたかスキー場のトップから,またもや小一時間のぼり詰めたところにある「前武尊山(まえ・ほたかやま:2040m)」。武尊山塊の前衛というべき山ですね。天気がよければお手軽です。私らも,午後1時スタートという超ナメたスタート。(午前中はゲレンデで練習)

リフトで30分ほどでゲレンデトップ。そこから自力で登行したわけですが,1時間どころか,30分ほどで頂上……。特に問題なし。
頂上から十二沢という沢を滑降し,多少上り返して,ゲレンデへ戻る,というコース。頂上で多少憩いましたが,3時には,駐車場についておりました。でも,わりに充実。体力がなくなっているだけかも。


そういえば,数年前の1月。すんごいドカ雪りの日に,山スキーおやじたち3人で,この山にきたことを思い出す。そのときは,ま,いろいろあったのですが,腿くらいの雪のラッセルで,ゲレンデに戻るのに,4時間くらいかかって,ほんと,ヘトヘトでありました……。ふつうなら,1時間くらいで戻れそうだったのに。。ほんと,泣きたくなりましたよ。
 

2010年3月23日火曜日

【新刊です】緩和医療レクチャー

 
京都大学がんプロフェッショナル養成プラン緩和医療医コース
『緩和医療レクチャー――がん患者の症状緩和のために』

平岡真寛・小川 修 監修
横出正之・岸本寛史 編


を発刊いたしました。



詳しい内容・目次は,小社HPをご覧ください。

本書は,この一環として,不足している緩和医療の人材育成を図るために,京都大学で行われたがんプロフェッショナル養成プラン「緩和医療講義」を書籍化したものです。
医師,看護スタッフ,医療ソーシャルワーカー,セラピスト等,多くの緩和医療に関わる人たちの必読テキスト,です。

臨床心理士や精神科医の方でも,最近では,がんの緩和医療,終末ケアにかかわっている方も多くおられます。

和田先生の「がんに負けない心理学」の販売など,遠見書房は,がんのケアについては,並々ならぬ関心があります。
(詳しくは→過去記事へ

本書は,いわゆる心理学系の話は,あまり入っておりませんが,それだけに,がんにかかわっているコメディカルの方に,ぜひ読んでほしい,そんな内容になっております。そして,本書の多くの執筆陣は,非心理学の方ですが,皆さんが「言葉の力」「心理の力」をサポートすることを念頭においておられたのが印象的です。

ぜひ,ご興味のある方は,お買い求めください。
 

2010年3月20日土曜日

すごいね,この辞書。

 
某人のTwitterとやらを覗いていたら,

A Dictionary of Psychology (Oxford Paperback Reference)A Dictionary of Psychology (Oxford Paperback Reference)

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が,な,なんと,奥さん,1,400円ですって。もしかして,誤植自爆?とか,,,なんていう話が載っていた。
ほら,よくあるじゃないですか,間違えて,25万の商品を,ネットで,25000円とか,一桁間違えてしまって,注文が殺到して,泣く……という話。
それと同じで,1万4,000円!のを一桁,アマゾンか,オックスフォードのなかのひとが間違えてですよ,1400円にしちゃったのか,などと思っていたので,これは即,買い!と思って注文をした次第ですよ。

そしたら,ま,すぐに届いたわけで。


えーー,ほんとに,1400円でやんの。17.99米ドルだそうです。。900ページ弱ですよ。奥さん。ほんと,安い。。。
1400円。。。。CP高すぎ。

ほんとは,Qxfordとかなんじゃないか,とか,すげえ,本の形が小さい,いわば豆本じゃないの,とか,いろいろと説があったのですが(つうか,だれにあったんだって話ですが),


比較A



ま,サイズは,A5判より,ちょっと小さいというサイズ。レターサイズの半分というのですかね。

(となりの本なんだろ,この本面白そ,という方→小社のHPをご覧くださいませ。(→参照))


比較B



厚さは,ず,ずいぶん違う。。。
つか,900ページで,1400円って,いま,円が強いからと言って,それって,すごい値段だなって率直に思う次第です。
だって,今日び,900ページのノート,1400円じゃ買えないかもですよ。。。

ま,実は横にしたのは,うまく立たなかった(!)からで,要するに,あまり造本はよかないのですが,それでも,まあ,ねえ,1400円ですから……。でも,英国で印刷したそうですよ。インドの会社で制作したみたいですが。

第3版らしいのですが,2版までは,4000円くらいの価格付けだったようです。。

うーん,安い。
ほんと,安い。
厚いといえば,「コロコロコミック」も,安かったけれど,これも相当安い。というか,これ,コロコロコミックなみに刷っているのか。。。初刷,何部なんでしょうね。1万の桁は刷らないと合わないだろうなあ。つか,いま,計算してみたんですが,刷れば刷るほど安くなる……というのは嘘で,ある程度刷ると,紙代ばかりになって,あまり安くならんのですね。なので,まあ,ほんと,数万刷っているんでしょうね。

で,ま,内容ですが,,,



どうですかね,一部,勝手に写真撮ってみました。
ウィニコッティアンなんていうんか,,,などという驚愕はさておき。

事典としては,「小項目主義」といわれるタイプの事典……「辞書」と表記したいものです。内容的には平易ですが,900ページですからね,何項目詰め込んでいるのか。とはいえ,初学者向けでしょうか。あるいは,翻訳する人が確認に使うのに向いているかもしれません。私なんかも,使えそうです。大事典調べるのは億劫……というときに,とりいそぎ使うは便利かもしれません。
というか,1400円ですよ,悩むことはないでしょう。。。

ほかにもシリーズとしてあるらしく

A Dictionary of Geography (Oxford Paperback Reference)A Dictionary of Geography (Oxford Paperback Reference)

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Oxford Dictionary of Science (Oxford Paperback Reference)Oxford Dictionary of Science (Oxford Paperback Reference)
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The Oxford Dictionary of Philosophy (Oxford Paperback Reference)The Oxford Dictionary of Philosophy (Oxford Paperback Reference)

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The Concise Oxford Dictionary of Linguistics (Oxford Paperback Reference)The Concise Oxford Dictionary of Linguistics (Oxford Paperback Reference)

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これらの辞書と,ともに買われているのが,「Very Short Introductions」シリーズのようです。

Psychology: A Very Short Introduction (Very Short Introductions)Psychology: A Very Short Introduction (Very Short Introductions)

Oxford Univ Pr (T) 2000-06-15
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ま,教養文庫ってところでしょうかね。いや,新書ですかね。

こちらは,岩波さんで,一生懸命訳出されています。。。

心理学 ― PSYCHOLOGY (〈1冊でわかる〉シリーズ ― Very Short Introductions日本版)心理学 ― PSYCHOLOGY (〈1冊でわかる〉シリーズ ― Very Short Introductions日本版)
山中 康裕

岩波書店 2003-06-06
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2010年3月18日木曜日

「学校現場での発達障害のガイドライン」コメント頂戴しました

 
拙記事「学校現場での発達障害のガイドラインを作ろう!」にさっそく,コメントをいただきました。

お忙しいなか,ありがとうございます。

まず,いただいたの現役児童精神科医の,afcpさんからです。

ご存知の方は,ご存知でありましょう,秀逸なブログ

A Forward-looking Child Psychiatrist
――前向きな児童精神科医のBlog


のafcpさんです。

afcp さんが投稿「学校現場での発達障害のガイドラインを作ろう!」にコメントを書き込みました。

全国一律…は理想かもしれませんが、利用できるリソースが地域によってあまりにも違います。
医療機関の数や待機期間、母子通園の整備状況、通級や特別支援学級の状況や教育センターの機能などあまりにもばらついています。自分は同じ県内のこどもでも市町村によって対応を変えています。ましてや全国では…。
どんなにリソースを整備しても、北海道と東京で同じガイドラインが通用するとも思えませんし、都道府県ごとくらいの単位で、整備するのが現実的かなと思います。



なるほど,確かに,リソースは全国一律ではないですね。
同じ名称をもったハードでも,ソフトが違うということもある。

うーん,これは悩ましい。
全国一律が大事,といったのは,これはもちろん「建前」でもあって,それは難しいというのはわかるのですが,でも,ベーシックなものは一律にしてほしい,というのがユーザー側の願いかな,と思います。
現実的に,全国一律は難しいとしても,都道府県単位になるが現実的だとしても,たとえば,東京はこうだけど,お隣の埼玉はこうで,全然違うのよ,というのでは,なんかよくない気がします。
インターネットでサービスも検索できる時代ですから,あまりにも地域差があるのは,よくないような。それは厳然としてあるのでしょうが,でも,それを埋める努力,知恵と勇気(?)が必要でしょうか。って,私もだれに知恵と勇気を求めているのだか。。。

一方で,ある程度,地域の「ハード」と「ソフト」が固まれば,近隣の地域でも,真似をすることもあるやもしれません。あるいは,地域住民が自治体に対して要望を出すというようなことも。


さて,もうひとかた,T.Y.さんからご連絡をいただけました。うちの親父のイニシャルがT.Y.なので,どきりとしてしまうのですが……。

T.Y. さんが投稿「学校現場での発達障害のガイドラインを作ろう!」にコメントを書き込みました。

賛成です。

私は以前、某市の保健福祉センターに配置されていた家庭児童相談室に勤務していました。子どもの相談はなんでも受け付けますが、最近の傾向として1歳半、3歳児検診で要フォローと言われた子どもとその親と関わることが多かったです。

私も様子見ではなく、早期に児童相談所と医療機関等に紹介していました。紹介はしても親によってはもうちょっと様子を見るといわれることもありました。子どもに障害があるかもしれないと思った時の衝撃に圧倒される方もいますし、その後の気持ちの揺れもありますし…。そのあたりは続けて相談に来られたら、その気持ちに沿ってタイミングを見て再度促すこともありました。

また、児童精神科医が少なく、医療機関は予約をしても診察は半年後、児童相談所(療育手帳等発行します)での発達検査はもう少し早いですが、概ね3ヶ月後でした。

都市部でこういう状況なので、地方ではもっと社会資源が少ないと思います。だから、紹介したくてもするところがないのかもしれません。

相談員のスキルには本当に差があるのも事実でしょうね。私の周りは熱心な相談員が多かったですが、立場は非常勤嘱託職員で、正職員でこういう仕事をしている人はいなかったと思います。


ということです。

うーん,なるほど。

T.Y.さんのように気の利いた相談者にあたると,ラッキーですが,スキルの足りない相談者に当たると,ほんと,人生のロスにさえつながりますね。


私の言う「ガイドライン」は,たいそうなものではありません。

A4 1枚くらいの,そんなガイドラインです。
もちろん,いろいろと想定しだすと,ガイドラインがどんどん増えていってしまって,えらいことになってしまいますが(読むのも億劫なガイドラインじゃ,意味ないですし),もっと,シンプルなものをイメージしています。

たとえば,発達障害のある子どもへのケアの経験の少ない専門職(教員・養護教諭・SCなど)が「発達の気になる子」が「発達障害圏にあるのか/ないのか」を簡易的に鑑別する方法はないものでしょうかね。

・保護者とお会いすることはできる
・母子手帳なども閲覧可能
・小学校入学時の知能テストの結果が入手できる(できるもんなんですかね??)
・簡便な,数分でできるような,テスト的なものはやれる

くらいの条件で。
児童精神科医や児童相談の臨床心理士の立場から,どうなのでしょうか。こんなこと,可能でしょうか。

これで,グレー判定が出たら,→発達診断へ,,というのは。
ここまでのガイドラインなら,個人の力量でできそうで,地域差もないような(個人差のほうが大きいですけど)……


==
「発達障害」のガイドラインとともに,「児童虐待」のガイドラインなどもあるといいかもしれません。と夢は広がりますが。。

 

2010年3月15日月曜日

筋肉痛と増刷間近

 
14日の関東地方は行楽日和というべき快晴で,かつホワイトデーでありましたが,黄砂なども遠路はるばる偏西風に乗ってきたそうで,青いんだか,白いんだか,黄色いんだか,わからない一日でありました。朝からつまらない冗談ですいません。

遠見書房主としては,数段階ステップに分かれた引越し作業の最終局面を行った,そんな肉体労働な日曜でありました。要するに,都下某所にお借りしていた倉庫から本を,そうですね,6,000冊程度でしょうか,移動させたという……そんな一日。筋肉痛ぱりぱりであります。

もつべきものは,友人でありまして,いつもサポートしてくれるK氏と,それから,今回,埼玉の北葛飾郡にて,トラック中古車販売会社を営むS氏が手伝ってくれました。このS氏,当然トラックなんぞを売るほど持っておりまして,それを貸すだけでなく,運転までしてくれるという,とてもありがたい申し出をしていただけ,どうも,みんな,ありがとう(大感謝)。

ともあれ,改めて在庫を並べてみまして,一つわかったことがあります。

えー,増刷間近の書籍があるということでありますね。


カウンセリングのエチュード

深奥なる心理臨床のために

思春期・青年期の精神分析的アプローチ

やってみよう!統合失調症者への社会・心理的アプローチ

この4点! 4点も!

これがですね,えー,増刷間近であります。

というか,どれも,たいていの出版社なら,そろそろ増刷せねば!というような,部数になりました。それまでの月間販売数によっても大きく変わるのですが,刷り部数の10~20%くらいの残部になったときは,そろそろ,なくなる合図なわけです。
ケータイで言えば,

□□■

こんな感じでしょうか。

運転資金が潤っているような会社ですと,早め早めに即増刷!となるわけですが(景気よさそうに見えるし),残念ながら4点もいちどきに増刷することは難しそうです。また返品などもきますから,そうなると配本するなかに初版と2刷が交じったりして,それも出版社としては仕方がないなと思うものの,個人としては厭だなという感覚もあって(よく平積みの本とか,いろんな刷りがあったりするじゃないですか。売れている証左なんでしょうけど),なるべくなら売り切ってしまってから,2刷を刊行したいな,と思っています。なんていうと,ま,アマチュアっぽいんですが。というか,資金力の問題ですけど。

とはいえ,どれも返品の可能性もあるので,ドーンと戻ってくるかもしれません。それも見定めてからじゃないとなあ。

いやね,けっこうあるんですよ。「すわ,増刷やで」などという話が営業部門からあり,著者の先生に「増刷用のチェック」などをお願いして,「わー,嬉しいわあ」「先生のおかげでボーナス出そうッスヨ」なんてやっているうちに,返品がドカーンと戻ってきて,2刷が出るのが数年後……などということが(時に増刷自体なくなってしまったり)。これを出版業界では「増刷の話をすると鬼が笑う」などと言い,忌み嫌われることであったりします(嘘です)。

ともあれ,このあたりのタイミングについては,編集者はホント無知でありまして,いろいろと経験積まなあかんなあ,と妙な関西弁で考えているところでございます。筋肉痛に効く軟膏を塗り塗りしながら……

 

2010年3月10日水曜日

学校現場での発達障害のガイドラインを作ろう!

 
と,まあ,私が言うのもおかしいですが,実は,過日,とある方から,遠見書房に電話が入りまして,小社の「夏休みで変わる ADHDを持つ子どものための支援プログラム」の本がほしい,とおっしゃるのですね。「了解,早速手配します」と連絡先などメモをとっていると,自分のお子さんのことを話されはじめました。けっこう,どうして本がほしいのか,問わず語りに話される方は多いです。当然,当事者や家族の方が多いわけですが。私としても,「はあ,そうですか,,大変ですねえ」としか言いようがないのですが,そっと伺っております。
そのお子さんは小学校6年生だそうですが,どうも,PDDだという診断に「なりそうだ」というのですね。「なりそうだ」というと,どういうことかわからないので,詳しく聞いてみると,

1)小さな頃から,目が合わなかったり,言葉の遅れがあったり,ちょっと変わった子だといわれてきた。
2)なので,小学校に入ってからも,市の教育相談の相談室で,たびたび相談をしてきた。学校ではほとんど「お客様状態」だった。
3)そこで,小五のときに心理テストを受けたところ,「自閉症傾向があるが,さほど心配するほどではない。お母さんもしっかりされているし,今のままうまく育ててください」と言われた。ちょっと安心した。
4)ところが,小6になって,突然担任の先生から「特別支援クラスに変わってほしい」「お子さんは自閉症だと思う」「心理テストを受けろ」と言われ,また心理テストを受けたところ,「自閉症だ。特別支援クラスに入ったほうがいい」と言われた。
5)で,現在,特別支援クラスにいる。

というのです。

遠見書房としては問題がありまして,PDDだというのでは,「夏休みで変わる ADHDを持つ子どものための支援プログラム」は不適用なのですね。この本は,ADHDの子ども向けの本です。PDDではどうもこのプログラムだとうまくいかならしい。PDDとADHDは,スペクトラムが違うというのが最近の説でありますし,事例などを見ていても,あるいは社会適応している両者の方々を見ても,やはり,ずいぶんと違います。
なので,「この本はご注文いただきましたが,PDDの方には使えませんおで,送りませんね」などと,泣く泣くメモを消去するわけですね,私は。

それとともに,うーん,なんだろうな,腹が立ってくるわけです。自閉傾向があって,お客様状態で,でも,まあ,普通学級に通っていた子が,何で,最初の心理テストをうけて,「まあ,大丈夫」といわれて,1年たったときに,すぐさま特別支援クラスに行くような状態に,変わるのか?? ブレすぎじゃないか!!
もちろん,10歳前後の,プレ思春期の,微妙な年代にさしかかったことはわかります。担任の先生が変わると,学級経営の方針が変わり,その子を支えきれなくなることもわかります。それから,別に普通学級がベストというわけではないこともわかっています。というか,この子の場合,本来ならば,早めに訓練を開始したほうがいいんじゃなかったのかとも思うわけですね。それに,同じテスターがアセスメントをしたのじゃないのかもしれません。担任の先生の個人的な事情もおありでしょう。
でも,思うのは,この子とお母さんがせっかく,リソースの一つを活用しようと思って相談してきたのに,「様子見」を選択した相談者がいる,ということですよ。お母さんは心配をしているのだから(しかもずいぶん昔から),担任の先生を交えた話し合いをしてみるなり,地域の医師の診断を求めるなり,もうちょっと社会的なケアができてもよかったのにな,と思うわけです。
それから,医療診断を受けることもなぜに勧めていないのか? お母さんから伺ったのですが,すでに子どもが特別支援クラスに入っているのに,まだ,診断を受けていない。なんか,そういうことってありうるわけですか? 診断を受けることで,リソースをいろいろと活用する可能性が広がると思うのですがね。

様子見というのが有益になる場合も多いかと思いますが,発達障害の子どもにおいては,様子見は害になることのほうが多いのではないでしょうか。自閉症スペクトラムにおいては,社会性の問題が多いわけですから,その社会性の獲得する時期に,その自閉症的な個性にそった養育指導・学習が必要なるハズで,10歳前後における,1年もの様子見は,その指導と学習の機会を奪うことにつながるように思えます。この辺りは素人考えにすぎません。間違っていたらお許しください。

で,問題は,その様子見をした「相談員」ですよ。心理テストを操っている?ことからみると,臨床心理士であるかもしれません。発達心理士でもあるかもしれません。心理テストの内容もわからないので,もしかしたら,教員のOBというような立場の人かもしれません。が,ともあれ,専門家とされる方が,ちゃんとしたリソースになりえていない。これは問題です。ある意味で,抱えきれないと特別支援クラス行きを願った担任の先生のほうが,ちゃんと対応している。。皮肉にも,です。


ともあれですね,学校臨床においては,こうした発達障害の相談については,ガイドラインを作るべきじゃないかな,と強く思った次第です。「うちの子,発達障害じゃないかしら」とは,多くの親が心配することです。的中であっても,杞憂であっても,そういう申し出があったら,発達障害が否かをアセスメントし,それから,親の様子も調べ(第四の発達障害というのもありますし),そして,学校の教員や医療関係者らとも協働しながら,その子に見合った教育なり,ケアなりをしていくことがベターではないかと思います。
そして,これを全国一律(これ,大事っす)で進めるためにも,ガイドライン作りが必要になるのではないかと思います。特に,発達障害やら自傷行為やらネット中傷やらモンペアやらという「新参問題群」が現れたときには,それなりに迅速に対応できるようガイドライン,なんかあるといいのに。なんかそういうのを作っていくシステムが必要なのになあ。

…………
…………
…………

過日。といったことを,大酔っ払いして,SC業界の大将である,某先生にぶーぶー言ってしまった次第です。


というわけで,ご賛同いただける方がありましたら,遠見書房・山内までご連絡ください。



 

2010年3月8日月曜日

西日本新聞に「夏休みで変わる ADHDを持つ子どものための支援プログラム」の記事が載ったそうです――そして山場の山場

 
先週の金曜日。5日。妙に朝から電話が鳴るな~,しかも,どのひともこのひとも「夏休みで変わる ADHDを持つ子どものための支援プログラム」所望! といわれるわけでありまして,これはどういうことかと,電話をかけてくださったご婦人に伺いますと,「西日本新聞に載っていた」と仰います。
「あれか!」
と振り返ること,幾星霜──というほどではありませんが,ちょっと記憶が薄くなるくらい前に,西日本新聞の記者の方から電話があり,この本についての紹介記事を書いてくださる云々という取材を受けたのであります。山下裕史朗先生と仲のよい新聞記者の方なんだそうで,くるめのSTPについても,幾度か紹介しているんだそうですよ。へえ。
で,明日か,明後日に記事を載せる予定であるから,速攻で,印刷に耐えうるクオリティをもった表紙のデジタルデータを送れ,と注文があったのですね。お安い御用でありますよ,と速攻で送ったわけですが,それっきり忘れておりまして……つか,載せてなかったんじゃん,とイマサラ思うのでありますが,でも載ってよかった! ありがとう,西日本新聞の中の人! とただただ感謝する次第であります。

かの記事とはこちらですよ
↓↓↓
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/156341


とはいえ,あの,その,電話番号が引っ越し前の電話番号でありまして…… つか,言い忘れてたし,つか,もう載ったんじゃないかと思っていたし。転送音声はあるのですが,あれを聞いてかけてくれる方,百人が百人じゃないですけれども。。ご迷惑おかけしてすいません。。。



ま,で,翌土曜(3月6日)ですが,遠見書房主は,えーっと,湯の丸山という御山へ,雪遊びに行ってきました。おととしくらいまで,週1ペースで行っていたのに,1カ月ぶり以上の雪山ですよ(涙) もう禁断症状が出てきて,手のひらがぶるぶる震えるので,行ってきたわけです。あちこちにお伺いを立てましてね,ようやく。

日ごろの行いのせいですかね。待ちに待ったその日がえーーっと,大雨雪山なのに。雨っすよ,雨。

今週は土曜しか休みないし,来週もまた土日埋まっているし,ですから,今日しかチャンスがない! というので,突っ込んじゃって,まあ,よく人は遭難するわけですが,湯の丸山というのは,まあ,標高2000ちょっとあるんですけど,里山みたいなものでして,二時間くらいあれば登れる山なので,もう,行っちゃうことにしました。ゴアテックスのウェアあるし。上のほうガスってそうですが,地形的には,適当に降りても,必ず道に出るし。というか,湯の丸山,もう5回くらいきているし。
でも雨だけど。

ほんとは浅間山がどかーんと見えるんですがね。

で,まあ,上り始め,1時間半くらいたったころですかね。自分でもいまどこにいるのかわからないわけですが(視界50メートルくらいなんで,上のほう,何がなんだかわからないわけです),けっこう登ったなあ,というところで,着電!

「はい?」
「あ,あの~,ADHDの本をほしかとです……
「は,ありがとうございます!」
(転送サービス使っているとです。それにご注文主様は九州弁丸出しではなかったとです。すいません,ちょっと作りました)


いやー,結局,その直後にもありまして,山の中で,2冊,注文を受けました。誠にありがとうございます!

西日本新聞,反響,なかなかいいですよ。いや,なかなかというか,かなりのものです。広告載せるならば,ぜひ,ご検討くださいませ。
 

2010年3月3日水曜日

引越しました。

 
だいたい引越し,終わりました。80%くらいっすかね。おびただしい数あったダンボール箱もずいぶんと減り,それなりに整理されてきましたが,いやでも,すごく疲れてます。

部屋パンパンです。いや、はみだしています。

本の数、すごいなあ。自分でも改めても思う罠。床抜けないかな、、、、大丈夫だろうけれど、心配です。

それと心配はもう一つあって、要するにですね、ここの拠点の物理的面積(体積?)がいつまで持つだろうことです。
そのあと、どうすんだろう。
そのときは、いつくるんだろう。割りに直近の悪寒あり。

悩み事は尽きません。



それにしても,すごい本あるんですねえ~。

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国内の民間助成団体1,101団体の要覧だそうです。
ぜひとも,チャレンジしてみてください。

私の知っている民間の援助職の何人かも,あちこちに応募しています。「ナントカ財団寄付」なんていう車があったり,そういうお金で偉い人を呼んで講演会を開いたり。映画を撮るんだという話を聞いたこともあります。

え~,出版助成の場合はぜひ遠見書房へ^^;