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2010年8月22日日曜日

【通読不要】八ヶ岳 天狗岳・鳴岩川・河原木場沢

 
(今回の記事は完全に遠見書房主の趣味の世界です。──いつもそうじゃないかという声もありますが)

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八ヶ岳には北八ヶ岳と南八ヶ岳がある。が,天狗岳というと,北なのか,南なのか。柔かな山容の多い北八ヶ岳の一員であると言えば,天狗岳も柔らかなので,北のような気もする。とはいえ,地図からみると南の北限という気もする。

……などと,まあ,どうでもいい記事はどうでもいいことから始まるが,私と同居人は,朝7時半くらいに,八ヶ岳 茅野側にある登山口 「桜平」に向かう林道(砂利道)をボロ車でやんこらよっと走った。桜平まであと15分くらいのところに,河原木場沢を越える木の橋がある。木の橋を車で越えるのは,ドキドキしてしまうが,その橋を越えてちょっと行くと7~8台は止まれる駐車スペースがあり,その対面に「醤油樽の滝」のハイキングコースの案内図がある。河原木場沢にある醤油樽の滝は,八ヶ岳最大の滝。そこまではハイキングコースが整備されているらしい。
駐車スペースで準備をし,8時ちょっと前に歩きだす。天気は上々。まずは案内図どおりに,ハイキングコースを行く。すぐに登山道は河原木場沢に近づき,沢沿いを行ったり,右に左に沢を越えたり,かなりワイルドな梯子を越えたりと,なかなか楽しいコースになる。足元がしっかりしていれば,ちょっとした沢登り気分が味わえそうだ。大きな滝を2つ越え,沢から離れ登っていくと,眼下に醤油樽の滝が姿を現す。35メートルあるらしい。なかなか立派な滝である。アルミの梯子を20メートルくらい下りれば,滝の真下まで行けるそうだが,今回は先を急ぐので却下。醤油樽が見えるところで足回りを沢靴用のものに変え,メットをかぶる。ここからは道らしい道はない。
今回は「徹底ガイド 春夏秋冬八ヶ岳」というガイドブックに拠って,この沢を登ろうとしたのだが,ちょっとばかり,このガイドは不親切である。沢登りのガイドには,遡行図という沢の様子を簡略化した地図みたいなものがついているのだが,この遡行図がわりにアバウト(なことがのちに判明する)。
無論,ガイドに頼って,沢登りなんかすんな,ということもあるのだが。

ともあれ,醤油樽の滝を越えるには,「右岸を巻く」と書いてある。巻くというのは,滝そのものをよじって登るというわけではなく,そのサイド(木が生えていたりして登りやすいところが多い)を越えていくことである。ところが,その「巻き」が大岩が阻み,かなり迂回をすることになってしまった。沢の音が聞こえなくなるくらい離れる大高巻きである(ガイドに書いてあってもいいのにと思った)。踏み跡(獣道か)も錯綜している。ようやく沢筋に戻っていくと,まだゴルジェが続いていて崖になっていて,沢に戻るのに苦戦をしてしまった。

苦労の末,沢に戻ると,いいナメが続いている。ナメとちょっとした小滝も続き,気分もよい。沢はいいなあと思う。雪の多い地方の沢というほど磨かれてはいないが,奥多摩あたりの沢よりもすっきりとしている。岩の色が赤だの黒だの黄色だのと変わって,楽しい。倒木が多くなってくると,いくつか沢が左右から入ってくるが(遡行図にはこれもなかったが,数日前の雨で流れているだけかもしれない),さほど荒れることもない。
倒木が雪崩のように積み重なっている沢と合流した直後に,10メートル 2段のナメ滝がある。濡れるのを厭わなければ,水流を登るのが手っ取り早い感じである。しかし,まだ時間は9時ちょっとすぎということもあり,暑いというほどではない。要は濡れたくないのである。沢の水は当然,冷たい。
巻くとなると両岸は狭まったゴルジェなので相当に大変そうである。なので,1段目は,左を登る。草つきや細かいホールドを選んでいくが,一手,ちょっと肝が冷える箇所がある。一緒に行った同居人のためには一応ザイルを出すが,中段にはザイルをビレイするところはなく,結局,気休めのザイルワークになってしまう。2段目も細かいホールドを選んでいくが,1段目よりも難しい気がしたので,空身でまずは登り,ザイルで荷物を引っ張りあげる。あがったところに木があり,そこを支点として,ザイルワークをした。さほど大きい滝ではないが,てこずってしまった。
この後,いくつか滝が出てくるが,さほど大変ではない。水の流れは細くなり,谷は開けてくる。水の味は,硫黄のにおいなのか,うまくない。この沢はなかなか楽しい沢だと思うが,水が飲めないのはとても残念である。

流れが切れると,採石場というか,月面のような荒涼とした風景に急激に変わる。火口らしい。左正面にぽこんと頭を出しているのが,西天狗岳。白~茶色系のガレ場とザレ場を四ツン這いになってあがっていく。木は生えておらず,本当に荒涼としている。同居人の後から上がっていったのだが,注意をしていても落石が頻発してしまった。乾いた滝などを越えていくと,ザレが終わり,やや大きい石からなるガレになる。だんだんと高山植物なのか,お花畑が増えてきて,足を踏む場所に悩むほどである。ガレ場とお花畑をほぼつめて,左手にある尾根に取り付くと,けっこうな数の糞(かもしか? しか? さる?)が落ちている。糞を目星に獣道を拾っていくと,登山道に出た。4時間ほどの登りだった。


(最後のガレをじりじり登る)

さて,下山だが,駐車したところに戻るためには,西天狗岳を越え,いくつかのピークを踏んでぐるっと夏沢鉱泉経由で戻るコースと,登らずに登山道を下り,途中,「枯れ尾の峰」から藪漕ぎをして(つまり,道のないところを適当に降りて),駐車場のあたりに行くというコースの2つがある。登山道コースはたぶん4時間はかかり,藪漕ぎコースはガイドブックによれば2時間ほどで済みそうだ。
当然,選択するのは後者である。枯れ尾の峰までの道も,一応登山道であるのだが,なかなかワイルドであった(あまり人が通らないらしい)。枯れ尾の峰からは,秘儀 コンパス・オリエンテーリング……なんてことはせず,GPSに任してしまった。

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starsもうこれ無しに山に行く勇気が持てない

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なので,すんごく楽に車のそばまでドンピシャで降りてこれました。藪漕ぎというほどの藪もなく。まあ,案ずることはなく,枯れ尾の峰から真南を目指せば,河原木場沢に出るか,林道に出るかするようです。

ともあれ,登りからくだりまで冒険心に富んだ沢であります。詰めがザレだけに雨の直後は厳しそうですが,難度は高くありません。が,充実した一日をおくれそうです。

ただし,人臭さの少ないところでありますが,なんと,auのケータイは着信しまくりました……。平日ということもあって,クライミングしつつ注文とか受けちゃいました。

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