「物忘れカフェ」で名を知られる藤本直規先生から『続・認知症の医療とケア――「根拠のあるケア」を追い求めて』をご恵送いただいた。ありがとうございます。
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以前,藤本先生のことは,F氏として,小ブログに紹介したことがある。
本書は,看護師 奥村典子先生との共著であるが,いや,とてもすごい本である。
認知症関係の本については,私は,いい読者ではないので,この本のすごさが一般的にすごいのかということはわからない。この本は,認知症のケアについて優しく書かれたわけではなく,認知症のタイプ別に分けてそれぞれの認知的弱さに合わせたケアについて優しく書かれた本である。
わかりにくい言い方ですね。
認知症には,さまざまな病態があるが,アルツハイマー型,脳血管型,レビー小体型,前頭側頭型の4つにわけて,それぞれの認知の仕方(あるいは,認知の難しさ)に合ったケアを,本当にきめ細かく紹介している,のです。
キーワードになっているのは,サブタイトルにもある「根拠のある」と,そして「想い」。根拠のある,は,いわばエビデンスなわけですが,これは統計的データをもってのエビンデンスというわけではなく,実践にもとづくエビデンス。現実として,統計データをとるよりも,多くのユーザーさんたちへの細々としたケアをしているほうが,個人的には説得力を感じます。
一方で「想い」。これは,正直なかなか汲み取ることは難しく,ついつい流してしまうのではないかと思うのですが,「本人の言葉」に注目することで,なんとか「想い」を汲み取っていくのだそうです。当然,認知症の方は,妄言もありますし,幻覚や幻視などもあり,「意味ない」とスルーしてしまう現実があるかと思いますが,じっくりと付き合うことで,「想い」にはっと気づくことがあるのでしょう。
ふと,小山充道先生の,
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(オンデマンド版もあるそうです)
なんてものを思い出したり,そういえば,小山先生には,
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なんて本もあったな,と思ったり。
ともあれ,認知症についての,本当に具体的なことが書いてあるこの「続編」は,すごくいい仕事をされているなあ,と嘆息をした次第です。
「正」編も,面白いですよ。
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