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2010年2月10日水曜日

文章をうまく書くコツ

 
先日、小社からPDFで出している──というか私が書いた『専門家のための「本を書こう!」入門』の激賞を、とある高名な精神科医の先生にいただいた。みすず書房さんとかで本とか出しちゃっているような方である。本当に嬉しくなって、小躍りしたのだが、一つ不満があるという。というのは、この本には「文章をいかにうまく書くか」ということがあまり書かれていない、というのである。確かに、この本は、文章をうまく書くコツについては、あまり触れていない。「第7章 文章が下手とは何か」というところに該当する部分として1章設けているが、さほど詳しいものではない。ほかの章に比べても短い。

私は書くのを避けたのである。

確かに、「よい文章とは何だろうか」ということを、情熱的に?考えていた時期もある。数年にわたって、日本語文法の本や文章の書き方の本の類を読んでみたのだ。そして、そもそも私は編集者である。あまり人の文章に細かく手を入れる性質ではないが、他人様の文章に文句を言うのが商売ではある。平均的に言えば、文章も下手な方ではないだろう。

とはいえ、文章をうまく書くコツ、など、私が書くべきではないところがある。私は文章を書くことで食べているわけではない。そもそも、私にはわからないところがある。
よい文章とは何だろう、ということだ。これがテンでわからないのである。

たとえば、詩や文芸においては、本当に素晴らしい文章は本当に素晴らしい。すべて計算されつくしていて、一行の無駄のないような小説もあり、呼吸するのも苦しく、読んでいて緊張すらしてしまう(けっこう疲れる)こともある。芸術的だと思う。感動する。けれど、万人受けすることはないだろう。読むことにもトレーニングが必要である。あらゆる芸術はそうかもしれないが、鑑賞力を要求されるのだ。それを「書け」と勧めるのは,これは,難しい。永遠の課題だ。
とはいえ、たとえば、大学の教授が書いたような文章に感銘を受けないかといえば、そうでもない。本人は意図して書いたつもりはないかもしれないが、バランスがよく、とても芸術的な文章だな、と思うこともある。

よい文章とは何だろうか?

文法的なセンスもある。比喩や隠喩のセンスもある。用語のセンスもある。文脈づくりのセンスもある。
訓語を増やすと温かさが増し、漢語を増やすと理論性があがることもある。
漢字やカナを使い分けることで、意味に軽さや深みが生じることもある。
受動態と能動態を使い分けると、書かれたものの奥行きが広がることもある。

これらが揃っていたからと言って、書かれた内容が貧弱では話にならない。

全体のコンセプトが重要である。
タイトルで売れる本は、少ないない。

よい文章とは何だろうか?

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