恋愛をもう一度したいか,と問われれば,諸般の事情を含めずとも,ちょっと面倒なので,もういいや,という感じの遠見書房主であります。
ああいう燃え上がるような情熱をもう二度と味わえないのか,と思うと,切ない反面,「降りた感」というか,諦念というか,そういうものもあり,さほど寂しいというところもないのも事実。オッサンのこころは,なかなか複雑なのもであります。
創業前のリーマンであった時代,同僚に若者などもおり,アニキ風を吹かせつつ,コイバナ(恋の話)なども聞くところもあったのですが,ほぼ一人出版社を起こして数年,すっかり,そんなこともなくなりました。
ところが,今日,というか,昨日のこと。
遠見書房主の息子と2人,近所に買い物がてらドライブをしていたんですが,唐突に,彼奴がいうのです。
「ねえ,なんで,ボクは○○のことがこんなに好きなのかな」
ち,ち,ちょっと,まて,うんな哲学的問いかけされても困るわ,つうか,お前,4歳だろ,と。
ええ,うちの息子は,あと数日で5歳になりますが,4歳であります。
子どもは「てにをは」がけっこういい加減で,主語があいまいだったり,そのうえうちのは,時折,妄想めいたことを言うので(皆,自分が好きだと思っている節がある),その○○ちゃんが自分(息子)のことを好いているのは何ゆえか,という質問なのかとも思い,問いただしてみると,やはり,文法的に誤謬はないようで,哲学的煩悶らしい。
ちなみに,○○ちゃんは,可愛い女の子でありまして,その○○ちゃんがうちの息子のことを気に入っているかは不明。ま,相思相愛だとしても,(今のところ)どうにもなるものでもありませんが。
ともあれ,ここは何かナイスなことを言わねば,とオタオタしまして,父ちゃん,どうすべきなのかしらんと,軽いパニックであります。
聞けば,どうも,「好き」というのが,いろいろと次元が違うところを幼いながら感じているらしく,気がつくとその○○ちゃんのことを考えてしまっていたりするらしい。で,「なんで,そうなるのか」という疑問(ある意味心理学的な問題)と,もうちょっと質の違う「なんで,ひとはひとを好きになるのだろうか」という形而上的な問題とに悩んでいるらしい。
○○ちゃんは,可愛いお子さんなので,
「それは,○○ちゃんが可愛いからじゃないの」
と軽く答えようと思ったのでありますが,これではイカンと考え直したのですね。
それでは,顔で好悪を決めているだけではないかと。外見よりも内面で人を愛するようになってもらいたい。私はそういう面はあまりなかったところも(ある時代には)あったかもしれないが,でも,一応,内面重視主義であってほしい,と思い返したわけです。
なので,
「それは,○○ちゃんが優しいからじゃないの?」
と答えました。父ちゃん,もうね,頑張ったのよ。
「うーん,でも,そんな○○は優しくないんだよね」
「…………」
「でも,○○,好きなんだよな~ 可愛いからなあ~」
親父撃沈。
ま,どうでもいい話なんですが,個人的にはとても仰天した出来事なので,記しておきます。
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