遠見書房のメルマガ

遠見書房のメルマガ
月1くらいの謙虚なメルマガです。上のバーナーをぽちっと押すと、説明ページに飛びます

2011年3月29日火曜日

【配達完了】いわきに灯油をもってきました

 
編集者というのは,非常事態時には無力な存在だと思います。いや,もちろん,こういうときに真価を発揮する編集者も大勢いるとは思うのですが,少なくとも,私は無力。その証拠に,本の売り上げは,がたおちです。こんなときに本なんか読んでいる場合じゃない!ってことなんでしょうか。ペンは剣よりも強し? いや,一番強いのは,ショベルかツルハシのような気が……

とまあ,忸怩たる思いというか,腐っていたわけですが,前回の記事で発表したとおり,灯油をいわきの楽寿荘という老人ホームに運んできました。
友人の中古トラック業 サカエ車輌の酒井氏と伺ってきたのですが,灯油2,000リットル,やっぱ,大変ですね。頼み込んで,あるガソリンスタンドで一息に入れたのですが,まあ,それだけで1時間はかかるわけです。一番,大変だったのは,これですね。結局,トラック1台になったので,私は,運転もしなかったですし。

常磐道は,友部から先くらいからが,地震の影響で,ギャップがあったり,うねっていたりします。とはいえ,時速100キロで足回りの硬い車でとばすと,ガチンコと下からつきあげくるよ,というくらいです。改修跡はずいぶんとあり,震災から2週間でここまで回復したのは,驚異的なことだと思います。ここを走るだけでも,なんか皆エライなあ,すごいなあ,という気分になります。

いわき市は,マスメディアでは,ひともおらず閑散としている!と書かれていましたが,ここ数日で流通もずいぶんと回復したようで,ふつうにスーパーもやっていましたし,コンビニなどにも商品が並んでいました。車もずいぶんと走っています。ガソリンの供給はまだ少ないようで,震災1週間後の関東くらいの状況でしょうか。でも,ガスタンに並ぶ列は(時間にもよるのでしょうが),30分待ちくらいな感じ。いわきを離れた6時くらいには,ガスタンで待っている車列はほぼなかったです。

ともあれ,いわき市のはずれ,福島第一原発から37キロのところにある,最前線?の特養老の「楽寿荘」についたのが,4時くらいになっていたでしょうか。120名入所,120名のスタッフがいる施設で,ここに灯油置いてきました。近所の施設に配ってくれるそうです。
ようやくこの月曜日くらいから,日常が戻りつつある,という感じみたいです。

正直,思いつき先行の,行き当たりばったりの物資援助だったのですが,バックアップをしてくださった大越さん,藍原さん,楽寿荘の佐藤さん,スタッフの皆さん,本当にありがとうございました。

一応,こんな感じで,保管しました。


楽寿荘さんは,すぐ前が海というような場所にあるところですが,ちょっとだけ高いところにあり(海抜7メートルくらいですかね),その敷地すれすれにまで津波はきたそうです。浜辺は砂浜で,もちろん,防波堤もあるようなところですが,ビーチサイドにある民宿やホテルは,ボロボロでした。一応,いわきに行ってきた証拠として,貼っておきます。


再建できるのでしょうか。
地震の被害よりも,放射能のほうが問題でしょうか……

いわき市は,宮城や岩手あたりほどの被害にはなっていませんでしたが,近くの小学校では,先生らが亡くなったそうです。水没した車も何台かあったり,あらぬ角度で立てかけられている車があったり(浮いちゃったんでしょうね),津波被害,すさまじい限りです。
いわきの街中にも,壊れてしまった店や家屋もときおりあります。

いわき市は,それなりに活気は戻ってきているみたいです。とはいえ,放射能への不安は大きく,いわきを離れる人も少なくないようです。生活のあてが問題なのでしょうが,震災前の状況に戻るのは,かなりの長い年月がかかるような気もします。原発の20キロ圏内は,十年,二十年単位で,封鎖でしょうし。
一方,荷卸を手伝ってくれたスタッフの方は,原発の間近に家があるらしく,「帰れないのよ」なんて寂しそうにおっしゃっていました。こうした方もずいぶんとおられるようです。

さて,灯油を送ったわけですが,結局,リッター95円の灯油を2,000リットルで,保管用に4500円のドラム9本を買って,往復8300円の高速代と軽油をつかって運んだわけですが,マネジメントとしては,お金かけすぎのような気もします。何十トンと運べるタンクローリーで運ぶほうが,効率はいいわけで。

結局,25万くらいになったのでしょうか。効率としては,義捐金として払ったほうがいいのかもしれません。

実際,風評被害とやらで,もっと困っているのかなって思ってスタートしたんですが,ここ数日のうちのかなり好転したみたいです。そういう意味で,こういうボランティアは難しい。客観的にも,主観的にも,単なる自己満足だと思います。

とはいえ,この手の「慈善」は,こちらの心の安寧のためにありますね。震災から2週間のあいだ,不穏な日常をすごしていますし,根本的な不安は解決されませんが,かなり落ち着いてきました。その意味では,災害ボランティアは,いいです。お勧めです。


以下,つれづれに思ったこと。

・まずは金。義捐金として日本赤十字や,あるいは,市町村,各種団体にへ直接振り込むべし。復興には超莫大な金がいる。中抜きしているようなところへは絶対払うな。詐欺同然。

・ボランティアは,被災地でもできるし,被災地ではない場所でもできる。荷物の仕分けなどの作業も人手がいる。市町村のHPにいろいろと出ている。

・震災後,憂鬱をかかえるひとは,ボランティアをやったらいい。気分は晴れ晴れとはいかないが,それなりに元気に,クリアになる。

・ボランティアをする/しないなどという話になると,しないことの是というのがまことしやかに言われる。だが,今回の震災は,規模が大きすぎる。多くの人が参加しないとまずい。自分のスキルや能力を生かせる場所は絶対にあるし,そこでの人材はきっと不足している。

・電力は,もう必要最低限にしか使わない。熱い夏がくるかもしれないので,いまから運動をして汗をかき,クーラーなしでやれる体力をつけとくといいと思う。マジで思う。

・余った電力は,産業にまわさないとまずい。東京電力は,個別停電ができないのか? 料金支払わないと,すぐに電気が止まるのに,どうしてできないのか? お金払うと,すぐに電気がつくのに,どうしてできないのか? できないのなら,いまから早急にシステムを作ればいいのではないか。なぞだ。

・金は使おう。買占めはしないで。経済をまわさないいけない。インフレになりそうだし。

・営業しているかしていないかわからない真っ暗なコンビニやファミレスが国道沿いに並ぶなか,煌々としているのは,たいていパチンコ屋だ。というわけで,煌々と営業しているパチンコ屋にお金を落とすのはやめよう。

 

0 件のコメント: