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2009年8月10日月曜日

【深奥なる】山中康裕先生の本を出します【心理臨床のために】

 
山中先生と初めてお会いしたのは、十数年前の、日本芸術療法学会の会場でした。お会いしに、宇都宮で行われていたその会までお伺いしたのです。お昼休みに会おう、というような約束をしていたのだが、私は山中先生の顔がよくわからず、どの方かな~と緊張していたのを思い出します。

爾来、なぜか山中先生は私のことを気に入ってくださり、いろいろと叱咤激励などもいただきつつ、時折うまい酒なども飲みつつ、現在に至っております。

さて、山中先生といえば、京都大学名誉教授であり,心理療法家であり,精神科医であり,現在は浜松大学の教授をなさっておられます。怖い人、というイメージがあるようですが、本来は気さくな方です。心理臨床学や精神医学に対する並々ならぬ情熱が、そうさせているのでしょう。

以前より,一部にはアナウンスをしておりましたが,山中先生の本を出すことになりました。ようやく、タイトルなど決まりました。

タイトルは,
「深奥なる心理臨床のために――事例検討とスーパーヴィジョン」

本体価格 3,200円+税
四六版で,300頁を超える大著です。


表紙など決定次第、またご連絡させていただきます。

さて、内容ですが、簡単に言ってしまえば、多くの事例検討論文にコメントを寄せてきた山中先生の,そのコメントを集めたもの,です。それだけではわかりにくいので,コメントの前に,それぞれの事例論文を圧縮したものを,その論文執筆者の方々に(お忙しい方のところは京都大学医学部の岸本寛史先生が)まとめていただいたものです。
「なんだそれ???」というような声が聞こえそうな気もしますが,私も正直のところ企画を聞いた段階では,そう思いました。ところが,岸本先生が集めてくださったコメントを実際に読んでみますと,これがとても面白い。
というのも,この事例検討論文(というよりも,事例研究の論文というべきでしょう)は,多くが大学の紀要に掲載されたもので,やはり若い方,初心の方が取り組まれたケースが多い。最初の事例,いわゆるイニシャルケースだったり,あるいは2,3ケース目,というような事例だったりします。なので,一所懸命な取り組みのなか,とてもすばらしい展開になっているものもあれば,反面,まったく大変な展開になっているものもあります。
そういったケースに,見立ての力というか,臨床経験の力というか,そういうものを力強く持った山中先生がコメントを,教育的な面からも,臨床的な面からも書くのですから,含蓄もあるし、的確ですし、「ほほう」と唸ってしまったりします。日々の臨床のヒントにもなりますし,とても腑に落ちる。山中先生は,ユング派の大家ですが,そういう偏りはほとんどなく(ほかの本もあまりありませんが),あくまでもクライエントや患者を中心に,彼らをいかに治すか,セラピストはいかに応対すべきかということを中心にコメントがなされています。本来的な意味での「クライエント・センタード」な臨床コメントが展開されています。ある部分で言えば,これは心理臨床の「真髄」を描いたものと言えるものです。

それから、もう一つ、「スーパーヴィジョン」に関して、山中先生のSVを実際に受けた方が、その逐語を起こして、2時間分を全文掲載するという、たぶん、本邦初(?)の試みもいたしました。
これも、超絶興味深い内容です。

目次・詳しい内容などは,小社HPをご覧ください。
http://tomishobo.com/catalog/ca05.html

9月の半ばくらいの発刊でしょうか。
いま、最終調整を一所懸命しているところであります。
  

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

「深奥なる心理臨床のために」今拝読中です。

 中身がギュっと詰まった読み応えたっぷりの本で
 何度も読み返しています。

 山中先生のコメントには、ただただ唸りっぱなしです。



 都内の大手書店のいくつかで、この書籍が平積みされてい ました。
 多くの人が待ち望んでいた書籍なのでしょう。


 山中先生との出会いのお話も、興味深く拝見いたしまし  た。

 ほぼ一人出版社ということですが
 陰ながら応援しております。