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2009年5月28日木曜日

ガンバレ、谷川俊太郎!

 
グーグル・ブック検索ですが、動きがあったみたいですね。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090527-00000148-mai-soci


====

絶版となった書籍のデジタル化を進める米グーグルと作家らが合意した集団訴訟の和解案が日本など米国以外にも及ぶ問題で、三田誠広・日本文芸家協会副理事長は27日、東京都内で報道各社の取材に応じ、「世界の作家の権利を守るための和解案を高く評価したい」と述べ、受け入れる考えを明らかにした。

 日本では刊行中だが米国で販売されていない書籍も絶版として対象になりかねないとの懸念が出版界に広がっていた。

 同協会は今年4月に発表した反対声明で和解案について、「米グーグルが絶版かどうかを判断するのは不当だ。回復しがたい不利益をこうむる」と批判。「一方的に押しつける和解案の日本の著作権者への通知が、一部の新聞・雑誌への1回の広告のみで、信じられないほどの軽視だ」と手続きも問題視していた。

 しかし、同協会は26、27の両日、来日中の全米作家協会や全米出版社協会の担当者らと意見交換。日本のオンライン書店や日本書籍出版協会などから情報提供を受けた刊行中の書籍は除外するといった詳細な説明があったという。

 三田副理事長は「絶版の定義は明確になった」とし、会員に対しデータの削除をグーグルに申し出るよう呼びかけていたが、撤回することにした。こうした考えについて6月3日の理事会に報告し、了承を得たうえで会員にも文書で通知する方針だ。

 一方、詩人の谷川俊太郎さんらが加盟する日本ビジュアル著作権協会(曽我陽三理事長)は和解案への参加を拒否する通知をグーグル側に送ったほか、中小出版社でつくる「出版流通対策協議会(高須次郎会長、98社)も拒否を申し合わせた。日本ペンクラブ(阿刀田高会長)は「安易に容認できない」とする声明を出している。

===

一言、ガンバレ、谷川俊太郎と、言いたい。
(呼び捨てスイマセン)

 
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2009年5月26日火曜日

サンヤツ追記

 
急遽,中日新聞東京新聞にもサンヤツが載ることになりました。

27日(水) 朝日新聞(朝刊・東日本)
      中日新聞(朝刊)

30日(土) 朝日新聞(朝刊・西日本)
      東京新聞(朝刊)

となっております。

朝日新聞(東京版)は,
http://book.asahi.com/sanyatsu/
で見られるみたいですね。

原稿はほぼ同じもの。

さあて,どのくらい注文がくるものなんでしょうね。採算は見合うのか。

 

2009年5月25日月曜日

カルトの本,動いている!

 
どもです。

5月病,いかがですか?
ま,けだるい季節ですが,実は(?)カルトの季節でもあるらしいです。と,小社刊の「カルトからの脱会と回復のための手引き」にはあります。
大学などで,4月に勧誘→よくわからないサークルとして活動→5月~7月くらいにカミングアウト というのが定石らしいのです。
で,これはどうも本当らしい。

というのも,カルトの本,いま,なんか動いています!
注文,増えています!
もちろん,カミングアウトだけの話じゃないかもしれませんが,ともあれ,よく出ています。ありがたいことなのですが,ありがたいだけじゃないのが,この手の出版人にとって心苦しいところです。だれか困っているひとがいるわけですから。

その勢いを得て,朝日新聞の3ヤツ広告(天声人語の下ですね)に,出稿することにいたしました!



こんな感じで。

何もなければ,

27日・水曜日の朝刊に(東日本)
30日・土曜日の朝刊に(西日本)

となっております。

書店の方,ぜひ。

 

2009年5月22日金曜日

写真,変えてみますた

 
とある方から,「もう,あの冬山の写真,やめたら。春なんだから」と言われ,確かに,と変更しますた。

デジカメ,面白いですよね。

一時,写真(銀塩)にはハマッて,カメラとかレンズとかけっこう買っていたのですが,デジカメの隆盛に,すっかり意気消沈しまして,ソニーのデジカメ(水没)だとか,ニコンのデジカメ(水没)だとか,いろいろと転々としておりまする。ニコンのデジタル一眼レフは,某松木邦裕先生の本の表紙を撮るために(という理由で)購入。
何百枚と撮りまして,某松木先生にお選びいただきまして,下記に決定した某本であります。

私説 対象関係論的心理療法入門―精神分析的アプローチのすすめ私説 対象関係論的心理療法入門―精神分析的アプローチのすすめ
松木 邦裕

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お読みいただいた某先生からは,

「某松木先生の臨床は,孤独だなあ~」

と感想がもれ。

本当は二人で歩いている写真を,なんていわれていたんですけれどね,諸般の都合上孤独な絵に。

なぜ,某つけるのか。
よくわかりませんが。。。


とはいえ,デジカメの一眼レフ,やっぱ,大きかったりします。

なので,最近,高級(?)コンパクトデジカメみたいなものもいじってみたんですが,それはそれで結構面白い。でも,水没癖(?)があるので(トラウマですかね),どうも,怖いところがあります。

今はめぐりめぐって,サンヨーの動画デジカメ。防水。

レンズが今ひとつという感はありますが,動画撮るのはまた別に楽しいものです。

とはいえ,モニタしかないので,屋外で撮るとき,モニタが見えなくなるのですね。
いまどきのデジカメはモニタ・オンリーのものばかりです。ファインダーつきのは高いものばかり。しかし,キャノンだけはなぜか今もファインダーをつけている。けっこう安い機種もついている。しかし,私,アンチ・キャノン派でして,これがまた。レンズもいいので,色もきれいだし。ニコンも頑張れ,と言いたい。でも,乗り換えるべきなのか。

なんていって,最近は,ケータイのカメラばかりしか使っていなかったりするんですよね。けっこうボケボケなんですが,空とか撮ると,味があるんで,不思議です。

 

2009年5月21日木曜日

よい文章ということ

 
よい文章というのは何なのだろうと、時に考える。
いつもいつも考えているわけではないのは、私が専門書を作っており、さほど文章の巧拙に関心がないからかもしれない。とても素晴らしい文章でなくても、専門書は売れる。よい文章のほうがやはり売れるけれど、読みにくいような文章であっても、まずは内容次第で売れていく。これは専門書だけではなくて、文芸書以外であれば、まあ、読みやすい、読みにくいなどはあるにせよ、及第点がとれればいいのであろう。よって、「よい文章とは何か」などと昭和の作家みたいに頭を抱え込むことはない。

とはいえ、時折、「よい文章」について考えてしまうことがある。
一人で本を作って、その本の裏表紙に宣伝文句などを作ったりするとき。もちろん、なるべく「よい文章」にしたいとは思う。思うけれど、なかなかうまくはいかない。
あるいは、書いた原稿を読むとき。打ちのめされるような「よい文章」を読んだりすることも時にある。そういうときに、「よい文章って何だ?」と考えてしまうのである。

今までに1,000人を超える方々の原稿を読んできた(こないだ1,000までは数えてみたのだ)。この数字は私くらいのキャリアの編集者では、けっこう多い数字だと思う。雑誌をやっていたのが大きいのだが、とにかく、多くの方々の文章を読んでも、「よい文章」に出会っても、「よい文章」というのがよくわからないままである。
文章とは総体である。ある一文がうまくても、それらがつながって出来上がっている文章がまずければ、どうしようもない。当然、文章の集まりである「論文」だとか、「書籍」だとかが箸にも棒にもかからなければ、どうしようもない。
とはいえ、一文にこそ、私たちは感動する。一文に感動しているのだか、一文一文をつないで出てきた、その一文に感動するのだろうか。その辺りもよくわからない。
そもそも「文章、うまいなあ」というとき、何を指しているのだろうか。私の言う「よい文章」と、だれかの言う「よい文章」はどこまで一致するのだろう。それは言語化できるものなのだろうか。
そして、「よい文章」はトレーニングをすれば身につくものなのだろうか。才能のほうが大きいのだろうか。
そんなことを悩んでしまう。
私はぱっさかぱっさか結論を出しては物事を進めてしまう性向なのであるが(よく「数日考えさせてください」といわれるが、最初は体のいい断り文句なのかと思っていた。私は15分くらいで考えはまとまるので…思い込みが強いだけかもしれぬが)、この「よい文章とは何か」ということに関しては、けっこう長い間──15年くらいは──考えている。
しかし、よくわからない。この記事に着手してはみたものの、まったく文章は進まない。

ある程度の知的レベルがあれば、たいていちゃんとした文章は書ける。苦手意識もあるかもしれないが、それは時間がかかるところが苦手だと認識しているだけで、質的にはそう変わらない。もちろん中には知的レベルは高いのに壊滅的に文章が下手という人もいることはいるが、それは相当に稀である。多くの人は、伝達という意味ではこれで何ら問題はない。その人たちの生き様が、よい文章を作ることがある。私が言う「交通事故に気をつけて」と、救命医の言う「交通事故に気をつけて」の重みは違う。それがよい文書につながる。

「いいセンスしている」という人は、50人に1人くらいはいるような気がする。破綻のない文章が書け、そのうえで書くツボを知っている。比喩なども上手で、読んでいて飽きないし、疲れない。長めの文章でも集中して一読できる。しかし、この人たちは嘘はつけない。自分の知っていることや信じていることしか書けない。もし、そうでないことを書くと、途端にぼろが出る。そんな気がする。

500人に1人くらいいるのが、ものすごい文章の達人である。破綻のない文章が書け、そのうえで書くツボを知っている。文章にはリズムがある。そして、文脈にもリズムがある。状況の説明や理論、感情、話し言葉など、これ以上にないというタイミングでさしはさまれる。ある一文が他の一文と的確に結び合っている。比喩なども極上で、読んでいて、わくわくする。そして、読んでいると、無我になっていく。そんな文章を書く人がいる。
そして、嘘も上手である。というと語弊があるかもしれない。なにも、この文章家たちが嘘をつきまくっているというわけではない。でも、これだけの文章能力があれば、信じてもない、思ってもないことでも、さも信じているかのように書くことができるだろう。

とはいえ、好みがある。美術鑑定人などと同様、経験知があればあるほど、よい文章を見分けることができるだろうが、やはり好みがある。
結局、よい文章とは何か、という問いには答えがないままである。

お付き合いした1000人のなかで、「ああ、この人の文章はベラボウにうまい」と感銘を受けたのは数人おられる。小説でも書けばいいのに、などと思ってしまう。
もちろん、私の好みである。私は、多面的に書かれた文章が好きである。感情や論理、形而上や形而下、聖と俗などを行きつ戻りつあるような文章が好きなのである。


衣斐哲臣先生をご存知だろうか?

衣斐先生の文章に出会ったのは、「システム論からみた学校臨床」が最初だったと思う。

システム論からみた学校臨床システム論からみた学校臨床
吉川 悟

金剛出版 1999-09
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この本は、吉川悟先生による編集ものの本なのだが、そこに衣斐先生はケース論文を書かれていた。
このとき、私は「ああ、この人の文章はベラボウにうまいなあ」と非常に関心をしてしまったのである。

このシリーズの第二弾、

システム論からみた思春期・青年期の困難事例システム論からみた思春期・青年期の困難事例
吉川 悟 村上 雅彦

金剛出版 2001-09
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にも書いていただいた。
やはりいいものだった。
もちろん、好みもあるのだが、とてもバランスのいい文章を書くのである。センスがあるのだと思う。

以来、あちこちで依頼をしたり、メールをしたりし、昨年、衣斐先生は、1冊の本を出した。

子ども相談・資源活用のワザ―児童福祉と家族支援のための心理臨床子ども相談・資源活用のワザ―児童福祉と家族支援のための心理臨床
衣斐 哲臣

金剛出版 2008-12
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これも実にいい本である。
文章もいい。内容もいい。オススメです。

 

2009年5月19日火曜日

奇遇・縁起・共時性

 
過日。
とある児童系精神科医の方と一献傾けた。本の企画会議と称する飲み会というか、酒の入る打ち合わせというか。わざわざ関西方面からおいでくださった御仁である。ちびちびと越乃寒梅→神亀→磯自慢なんていうよくわからない選択をしながら、うだうだと話す。酒もしっかり入り、打ち合わせはひと段落し、初対面の方であったが打ち解け始め(というか、お互いに15分くらいでここ4年はつきあっているかのような雰囲気をかもすタイプ)、同世代ということもあってか、いろいろとぶっちゃけた話をしたり、聞いたりした。
その先生は、関西の某都市でクリニックを開業されているのだが、けっこう手広くやられている。まだ若いのにたいしたもんだなあ、などと感心仕切り。でも、一応、互いに経営者ということで(私のほうは、一人ですが)いろいろと経営について語ったりした。私のほうも、それなりの経営方針というか、運営方針というか、夢想というか、妄想というか、あるので(あるのです!)そんなのを酔いの力を借りて開陳したりする。
で、何とも、先生の話が、なんか、いま読んでいた本に似ていたのですね。

哀川翔 鉄砲弾伝説 (廣済堂文庫)哀川翔 鉄砲弾伝説 (廣済堂文庫)
哀川翔

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こんな本なんですが……。

哀川翔の伝記というか、語りをライターが起こしたものなんですが、なんかこの本、妙に面白く読んでいて。
けっこう感銘なんかも受けてしまうのですが、哀川翔は、「無敵をめざす」なんていうことを言うんですね。なんかもう、暴走族みたいなことを言って、とまゆをしかめる方も多かろうと思いますが、そうじゃなくて、「敵のいないところに行くのが一番じゃん。それが俺の無敵」なんていう。
で、まあ、私が遠見書房主として目指しているのも、結局のところ、この無敵であり、私が聞いている限りにおいては、この児童系精神科医の先生も、同様、無敵を目指している。そんな気がしたわけです。
で、そう言ったわけです。

すると、その先生、自らのバックに手を伸ばして、一冊の本を取り出すわけです。

ジャ~ン!

早起きは「3億」の徳早起きは「3億」の徳
哀川 翔

東邦出版 2009-04
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あ、哀川翔祭り? きているの?、哀川翔? いま、すごい人口密度になっているぞ、哀川翔本ファンが……。日本でここだけ? この神田の居酒屋だけ? それとも、どっか他の地域でもそうなの?

などと自分のなかで言葉をめぐらせたわけですが、お互いに「奇遇っすねえ」などと言い。
奇遇なのか、縁起なのか、共時性なのか。

うーむ。
すげえ。

もし、これが合コンか何かだったら、完璧に恋に落ちちゃうシチュエーションですね。ま、哀川翔の本、読んでいる女の子はちょっとあれですが……。
とはいえ、残念なことに、どちらも、そろそろ40になろうかというオッサン(s)であり……。ロマンスなし。

まあ、でも、きっとこの本、面白いものになると思います。息が合うはずなのです。まあ、恋愛関係とまでは行きませんが、出版する関係も、それなりに濃い関係になりますからね、そこで気が合う合わないはかなりの問題です。
そこに哀川翔ですよ。

ゼブラーマン [DVD]ゼブラーマン [DVD]
宮藤官九郎

東映 2004-08-06
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(つい、借りてしまった…。哀川翔の日本アカデミー賞受賞作)


いや、実は、「哀川翔」という次元で揃ったことはありませんが(さすがにすげえと思う)、もうちょっとアリガチな本で揃うことはときどきあります。そういうとき、「俺、きている」と、なんとも、オカルトチックな気分になるのですが、ま、一年に100冊くらい本読んで、それを20年くらい続けているんで、たいてい「当たる」かもしれませんが。

初めてか、あるいは二度目くらいの書店営業に伺い、ある書店さん(日本で一、二を争う)の心理の担当の方にお会いした時、たまたま私が持っていた本(買おうと思って、持っていた)のをその方が見つけ、
「あ、それ、私、昨日読みましたよ」
なんておっしゃったこともありました。

ひどい感じ―父・井上光晴 (講談社文庫)ひどい感じ―父・井上光晴 (講談社文庫)
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ま、珍しい選書です。。

何万という本があるなかで、ほとんど同じ時期に同じ本を選ぶというのは、これはすさまじいことだな、と思います。
このときも、恋に落ちる可能性もあったかもしれませんが、こちとら、もう既婚者だったのでね、とても残念ですよ。というか、そもそも、向こうは、眼中にも入っていないでしょうがね。



なんか、このことを書きながら、昔、理想の異性を見つけるには、本屋でじっと見張って、自分が好きな本を選ぶひとに声をかけるのがいいんじゃないかと考えたことを思い出しました。嗚呼、何という文学青年ぶり。



ま、哀川翔ですがね、私、この手の「アウトローもの」、ときどきですが、読むのですね。元ヤンキーではないのですがね。パーマもあてたことないですし。でも、この手の本を読むと、煙に巻けるんですよね。
まあ、芸術・文学・科学・人文とさまざまな本がありますが、やはりいつも上には上がいます。小難しい本を読んでも、「ああ、あれね、あれよりもこっちのほうが面白いよ」なんて言われたりするもんです。編集者はそうでもないのに本ばっか読んでいるみたいなイメージがありますので、そういうときに有効なのが「アウトローもの」です。「『×××』なんていう本がありましてね」というと、みな、チェックしていていないので、けっこう煙に巻けるわけです。
ま、それとともに、「不良の本」って面白いんですよね。成功者なんて一握りなんでしょうが、生き様というかね、想像以上に知的だったりして。

以前、村瀬嘉代子先生とお話をしていた時、

成りあがり How to be BIG―矢沢永吉激論集 (角川文庫)成りあがり How to be BIG―矢沢永吉激論集 (角川文庫)
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「あの本はあなた、お読みになった? とても素晴らしい本だと思わない? あの方はとても知的なのね」

などとおっしゃり。

15歳のとき、家の隅っこに転がっていたのを暇つぶしに読んでおいてよかったと思った私でありました。兄貴、ありがとう。君の蔵書のおかげだ。

子どもと付き合う仕事の方は、アウトロー系も読んだほうがいいのかもしれませんね。
 

2009年5月15日金曜日

ロテ職人さんの怖い話。

 
ロテ職人さんのブログが面白いのでマメに見てしまう。いろいろな情報を取り上げていて、とてもタメになる。ときどき、小社の本も取り上げていただけ、これもありがたい限り。本当に感謝しております。こんど、テラ飯でもぜひ。

で、今日の記事をみていて(『死ぬほど洒落にならない話を集めてみない?』が面白い)、

へえ、と思った。

「新耳袋」好きなんすね。

「新耳袋」というのは、怪談本であります。
毎年、毎年……10年にわたって出ていたもので、全10巻めが出て、とうとう完結。夏の風物詩だったんですがね、とても残念ですよ。とりあえず、全部読みました。はい。しかも、繰り返して読んでいます。

と思っていたら、新シリーズが出ているんですね。。。

九十九怪談  第一夜九十九怪談 第一夜
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文庫になるのを待って買おう。


まあ、怪談モノは、『幽』という専門誌もあるくらいですし、

幽 2009年 01月号 [雑誌]幽 2009年 01月号 [雑誌]

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「書き方マニュアル」的な本もあるくらいで、

怪談文芸ハンドブック (幽BOOKS)怪談文芸ハンドブック (幽BOOKS)
東雅夫

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もはや、一大マーケットとなっております。夜中とか、一人で読んでいると、ちょっと怖かったりするんですけれどね。「そんなアホなあ」なんて思うんですが。

で、最近のマイ・ブームは、1つに、

分野別の怪談アンソロジーをぷりぷりと読むことであったり、

当然、山関係。

赤いヤッケの男 山の霊異記 (幽BOOKS)赤いヤッケの男 山の霊異記 (幽BOOKS)
安曇潤平

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魚釣り関係もあったり。

水辺の怪談最恐伝説―釣り人は見た水辺の怪談最恐伝説―釣り人は見た
つり人社書籍編集部

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刑務所の怪談なんて組まれ方もあったり。

刑務所の怪談刑務所の怪談
坂本 敏夫

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で、最近、いろいろと怪談を読んでいると、「元はあの話じゃね」というようなものによくぶち当たるようになった。これは、2chの怖い話のまとめスレで読んだな、とか。
場末(?)の、というか、コンビニで売っているような、安い造りの、怪談本なんかを古本屋で50円(2冊で)くらいで買うと、「これも、あれも、知っている」という感じになる。
しかも、微妙にデフォルト話から改竄がしてあったりして、オチが変わっていたり、使われる道具が違ったり、場所が違ったり。昔の怪談本とかから、時代背景だけ変えてしまうものも多い。それ、「遠野物語」じゃん、みたいな。
手っ取り早く作りすぎw と思うものの噂の伝播を見ているようで、それはそれで面白い。

怪談は料理のレシピと一緒ですね。


そういえば、こないだ、実家の近所が怪談(双子の高校球児が車に引かれて、いまだに恨んで国道を走り回っているみたいな)になっておりました。地名までバッチリ書かれていてw
でも、

そんな事故、なかったから。


で、「心理士の怖い話」なんて、どうですかね。

一つ、考えました。

不登校の子どもを温かく見守ろうと特に介入もせずいたら、お母さんとの面接だけで気づいたら、10年たってました。

なんていうのはどうですかね。怖くないですかね。


などというオチをつけてみますた。

というわけで、ロテさんにインスパイアされた次第です。
 

2009年5月14日木曜日

グーグル・ブック検索の和解案 延長

 
グーグル・ブック検索の和解案、4カ月延長され、9月4日に延長されることになったそうです。
とりあえず、よかった……のかな。米国でも独占禁止法の疑義が出ているとか。

http://mainichi.jp/life/electronics/cnet/archive/2009/04/30/20392526.html

ちょっと古い話ですが。

それにしても、今日はいい天気でした。
 

2009年5月11日月曜日

寿司パンとは何か?

 
その昔、当時の上司であったT氏と鳥取・米子に出張に行った。ブリーフサイコセラピー学会の総会で、本を売りに行くという旅である。出展会社が1社しかなく、しかも人気のある東豊先生が大会を仕切っていた(かのように記憶している)からか、動員も多く、無茶苦茶売れた。とても気分がよくなって、T氏と二人、寿司屋に入ったのである。よく知らない町のことであるから、駅前にあった江戸前風の寿司屋であった。

で、店に入ると「寿司パン」というのがあったのですね。何だろうという好奇心がむくむくと当然、持ち上がるわけです。寿司パンですよ、寿司パン。どうなっているのと。
シャリの代わりにパンの上にさしみが載っているという可能性もある。サーモンか何かでマヨネーズなんかをつけると案外うまそうですが、それ、カナッペでいいじゃん。
あるいは、ネタがパンという可能性もある。握り寿司の上に、フランスパン(ガーリック味)とか。ラーメンライスとか好きなんで、けっこうイケルかもしれない……。

値段は300円とか、そんなものであった。当然、注文する。

確か、私の記憶によれば、鳥取県は日本で一番パンを食う県である。なんかテレビか何かでそういう話を聞いたことがある。私は、それを思い出して、T氏に切々と(でもないけど)、だから寿司パンなのではないか、などと訴えた。でも、イメージはうまく実像を結ばない。寿司パンとは何か?

と煩悶(というほどでもないけれど)するあいだに、寿司パンがやってきた。

ま、解説すると、アンパンのアンコの変わりに、寿司飯(多少、ちらし寿司風)が入っているという代物でしたね。けっこう大きくて、ほんと、アンパン(木村屋謹製)くらいはありました。中の寿司飯もそのくらいの大きさで、おにぎり四分の三くらいの大きさでしょうか。パン生地自体はちょっと固め。

魚関係は入っていなかったような。
なんで、パンで包む必要があるのか、と強く感じたような。
それでいて、甘酸っぱい寿司飯と案外悪くない組み合わせだと思ったような。
とはいえ、酒の肴にもならないし、どういうタイミングで食えばいいのかと思ったような。

ま、案外、ぺろっと食ったわけですが、これ、入店早々に食べたわけです。炭水化物(×2)ですから、けっこう腹持ちもいい。せっかくの寿司(おごり)だったのに。。。これ、寿司屋的にはよくないんじゃないの、と思うわけです。女の子だったらお腹くちくなっちゃいますよ。


などということを思い出したわけです。
こんな本を読んでいましたら……。

天ぷらにソースをかけますか?―ニッポン食文化の境界線 (新潮文庫)天ぷらにソースをかけますか?―ニッポン食文化の境界線 (新潮文庫)
野瀬 泰申

新潮社 2008-12-20
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これは日経新聞のネット版に連載していたコーナーを書籍化したものに、また手を入れて文庫化したという本であります。
ま、タイトル読んでもよくわからないかもしれませんが、日経のサイトから読者に、たとえば、「天ぷらにソースをかけますか?」とか、「マメご飯は食べますか?」とか、「冷やし中華を何と呼びますか?」とか、いろいろと聞きつつ、「日本地図」を作る、食の方言を調査していくコーナー(「食べ物新日本奇行」)をまとめた本なのです。

まあ、これが面白い。
いや、なんかここのところ、面白い本によく当たるので、自分でも怖いくらいなのですが、この本もとてもオススメです。ま、勉強の本じゃないですけれどね。暇つぶしには極上です。

とても興味深い食の慣習がさまざまな地域で独自性がありつつも、つながり、妙な進化をしていることがわかるのです。それがインターネットという、まさにそれを調べるための道具を得て、とても多面的に描かれている。


時折、ジャーナリストの本を読むのですが、90年くらいから傑作が減ってきているような気がします。ま、新聞記者は本を出しても(アルバイトも)OKというような自由さが、そのころよりなくなってきたのかもしれませんし、新聞記者もサラリーマンぽくなってきたのではないかとも思います。ジャーナリズムに力がなくなってきたのは、そういうところにも原因があるかもしれません。

そういうところから見ると、本書は近年のジャーナリストの書いた本のなかでは白眉のものでしょう。地道な聞き・書きと、ネットの技術を駆使して、瞠目すべき結果を出しています。もっとも、紙媒体ではなく、ネットだからこそできたのかもしれません。
その意味では新しいジャーナリズムの形なのかなと思います。

なお、食べ物新日本奇行は、今も連載されているようです、

http://waga.nikkei.co.jp/play/kiko.aspx



さて、上記の本では、食文化として東日本と西日本がくっきりと分かれるとされています。
私、東京で生まれ、千葉で育ち、両親はともに数代前までさかのぼれる東京人(下町方面)ですが、この本を読んで、けっこう関西系の食べ方をしているのに気づいた次第です。カレーに生卵もするし、肉まんに辛子酢醤油だし……。うーむ。ただの悪食かも。

文人悪食 (新潮文庫)文人悪食 (新潮文庫)
嵐山 光三郎

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文人じゃないし、まんじゅう茶漬けなんかもしないんですけれどね。

 

2009年5月8日金曜日

【ありがざーす】GW明け、2冊の本をいただきました

 
すっかりGW明けの呆然とした脳みその私です。
お元気でしょうか、皆さん。

ぶらぶらとGWボケを引きずって事務所に参りますと、なんと、2冊の本がポストに入っておりましたよ。どちらも著者謹呈でございます。ありがとうございます。
1冊めは、岩波書店さん刊行。岩波さんは、小型ダンボール箱みたいなもので送付していただけるのですが、なんともナイスな箱。紐解きますと(ヒモで結わいてあるのですが)、なんと、岩宮恵子先生の本でありました。

フツーの子の思春期―心理療法の現場からフツーの子の思春期―心理療法の現場から
岩宮 恵子

岩波書店 2009-04
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私、本を読むとき、略歴とかまず読んじゃうのですが、こうありましたよ。
「目下の癒しは『海街diary』(吉田秋生)と『きのう何食べた?』(よしながふみ)……」
ま、この2冊をあげているだけで、もうタダモンじゃない度が高いわけですね。この2冊、私も愛読者でありまして、特に『きのう何食べた?』においては、この主人公の食い物に関する認識は、私をしてモデルにしているのではなかろうか、と妄想させるほどのものです。イチゴが最安値になると買ってきてジャムにする、という話があるんですが、自分のことを読まされているようでしたよ……。そろそろ時期的に198円/パックになるんですよ。

とまあ、話が枝葉に入ってしまいましたが、さっそく拝読いたしました。

ま、はっきり言いますとね、面白い。面白いに決まっています。
いま、一番書ける、発想が豊かな臨床心理家の一人が書くんですから、当然、これ、面白い。そもそも文章がお上手です。実は私、岩宮先生とは文通♪させていただいているのですが、サービス精神が高く、必ず、メールにおいて、16箇所くらい笑うところも盛り込まれています。こないだ夜中に読んでいて一人大爆笑でしたよ。そんな筆至ですから、当然、物語り上手。思春期特有のイガイガ感なんかもうまく描かれていて、なんか懐かしいような気分にすらなります。でも、やはり、今時分の子どもは大変だなあ、などと思ったり。さっさと大人になって本当によかった。

ともあれ、この本は、SCなんかで子どもと触れ合う機会のある方にとってはヒントが多いことでしょう。学校の先生なんかにもオススメします。
とはいえ、こういう本は、だれもが定期的に読んでおくといい、と私は思います。本書は、ある種の時代の巫女なり預言者なりが書いた本の1冊だと思います。つまり、ある見方によって、ある世相を見事に切り取っているということです。世代論は、10年スパンくらいで出来ていて、スペクトラム分布している感じがしますので、多分こういう本を別に思春期の子とかかわりのない大人が読んでも、「うむ、これは新入社員のAくんにソックリだね」などと思ったりするものです。そして、それは時代をうまく描いています。こういう読書は、うまく生きる糧になる感じがしています。

ともあれ、これは極上の臨床心理の本であると同時に、時代を映す鏡ですよ。ぜひお買いくだされ。


で、もう1冊は、独語訳者の赤坂桃子先生からいただいたものであります。

読書について読書について
赤坂 桃子

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ぬわんと、ショウペンハウエルですよ。
これもまた、ありがとうございます。

ショウペンハウエルといえば、「岩波青本」というイメージがあるのですが。

読書について 他二篇 (岩波文庫)読書について 他二篇 (岩波文庫)
Arthur Schopenhauer 斎藤 忍随

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これは当然、新訳。
実は学生時代、ショウペンハウエルだの、キルケだの、カントだの、デカルトだのを、一生懸命読んだのですが、いや、まったくその記憶は忘却の彼方にあります。これも読んだはずなんですが、、

で、新訳をさらさらと読み通しましたが、レイアウトもよくて、とっても読みやすい。これは金言集です。「断片」という形式が西欧にはありますが、もともとはそれで出来たものでしょうか。その断片から一文を「箴言化」して、その解説をしている、といった形にしているもので、「自分で考えること」、「著述と文体について」、そして「読書について」の考えがまとめられています。
赤坂先生は、フランクル関連の翻訳もされている方で、フランクルの評伝、

人生があなたを待っている―『夜と霧』を越えて〈1〉人生があなたを待っている―『夜と霧』を越えて〈1〉
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人生があなたを待っている―『夜と霧』を越えて〈2〉人生があなたを待っている―『夜と霧』を越えて〈2〉
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なんて本も訳されています。

帯にある言葉、気に入りました。

「学者とは、本で読んだ知識をもっている人のことである。
しかし思想家、天才、世界に光をもたらす人物とは、世界という書物を直接読んだ人である。」

引用上手になりそうです。。。

ともあれ、これも岩波版よりもずっと読みやすい文章です。本来の哲学書はこういう文章なんじゃないの、というような疑念もふつふつとわきますが、まあ、いいでしょう。
未読の方、ぜひ読んでみてください。
  

2009年5月1日金曜日

更新ならじなら山話など

 
ここのところブログの更新をしていない。「ままならぬ」というべき状態である。というのも、いろいろと仕事が重なっているからなのであるが、もう一つは、裏の(というか、表の)「遠見書房からのお知らせ」というメールマガジン上において、「グーグル・ブック検索について」という、かなりマジメな──論文じゃないですが──一文を書いたからであります。ほんと、3週間くらいまとめるのにかかりました。
ここにずばっと全文掲載したいところなのですが、ゆえあって、掲載はやめています。もし、読んでみたいという方がおありでしたら、メールマガジンを取ってくださいませ。興味のある方にも、さほどでもない方にも、なかなか面白い内容ではないかと思います。

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というわけで、その一文を書き終えたのが月曜でありまして、急遽、メールマガジンを発送したのですが、休み明けて、昨日もバタバタとしているうえ、ちょっと昼間からきこしめしていたりしたので(どうもご馳走様でした)、すっかり腑抜けの状態です。格好よく言えば、燃え尽きという感じですかね。

というわけで、唐突ですが、皆さん、黒部ダムってみたことありますか? 激流黒部川にある黒部ダム。完成までに幾星霜というダムで、吉村昭の「高熱隊道」なんていう傑作小説やら「黒部の太陽」(石原裕次郎の映画ですな)などなどを生み出した北アルプスの山中にあるドデカいダムであります。
上から見ますと、こんな感じ。。



29日に撮ってきました。
5時間かけたどりついた、針ノ木岳北側のコルからの映像です。
すばらしいお天気、すばらしい山でありました。
もう1枚ごらんくださいな。



登り5時間ですが、スキーで下ったもので下りは小1時間……。


では、みなさん、よいGWを。